レシピ

【材料】(2個分)

    • ソフトフランス  2個
    • 鴨肉パストラミ  50g
    • 808ファクトリーレタス(フリルレタス)  2枚
    • 人参  1/2本
    • A(マーマレード 大さじ1 オリーブオイル 大さじ1/2 レモン汁 小さじ1 塩・こしょう 少々)
    • マーマレード  適量
    • バター  適量

【作り方】

    1. 人参は千切りにして塩(分量外)で揉み、水切りする。ボウルに入れAと混ぜ合わせてラペを作る。
    2. ソフトフランスは霧吹きをしてトースターで軽く焼き、真ん中に切りこみを入れる。
    3. ソフトフランスにバターとマーマレードを塗り、レタス、薄切りにした鴨肉パストラミ、ラペを挟む。

マーマレードの日

5月14日は「マーマレードの日」。2006年からイギリスで開催されている世界最大級のマーマレードの祭典であるダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバルの日本大会が行われたことを記念して、4月14日のオレンジデーの1カ月後である5月14日を記念日にしたものです。ちなみに愛の告白をするバレンタインデー、返事をするホワイトデー、そして2人の愛情を確かなものとする日がオレンジデーです。この日はオレンジやオレンジ色のプレゼントを贈り合うそうです。昨年はコロナの影響で中止されたフェスティバルですが、今年は2年ぶりということもあり、研究を重ねた美味しいマーマレードが登場したのではないかと思います。

そんな愛情を確かなものにしたカップルにはそれぞれ面白い組み合わせがいます。性格や価値観が似ている似た者同士、お互いの足りないところを補うかのように正反対の対極同士、表面的な関係を演じる仮面カップルがいて、一緒にいれば複雑なことが起こったりすると思いますが、料理の組み合わせとなると、複雑どころか相互作用により豊かな味を引き出してくれます。相互作用には対比・抑制・相乗の3つの効果があり、私たちもその作用を無意識に利用しています。

例えば西瓜に塩をかける、お汁粉に塩を加える、ゴルゴンゾーラのピザにはちみつをかけるといったように、「甘味と塩味」を混ぜたとき、どちらかの味が強く感じられる対比効果はよく知られています。またコーヒーに砂糖を加える、魚の塩焼きにレモン汁をかけるといったように、「苦味と甘味」、「苦味と酸味」を混ぜたとき、どちらかの味が弱められる抑制効果、昆布と鰹節を合わせた出汁やトマトと牛肉のミートソースのように、うま味成分が合わさると、より一層その味やうま味が協調される相乗効果があります。

わたしはこれらの3つの効果をうまく使える食材が、マーマレードなのではないかと考えています。ジャムは果肉と砂糖が原料ですが、マーマレードは柑橘類を原料とし、果肉と砂糖のほかに果皮が含まれているので、ほどよい苦味がさらに美味しさを引き出してくれるのです。マーマレードと醤油で作ったスペアリブの漬けダレは「塩味と甘味」の対比による味付け、マーマレードとレモン汁で作った魚介や野菜のマリネ液は「酸味と甘味」の抑制による味付け、そしてチーズケーキの仕上げにマーマレードを塗れば「うま味とうま味」の相乗による味付けで絶妙なバランスを引き出してくれます。マーマレードはパンやヨーグルトにしか使っていないようであれば、甘辛い味付けの和食の隠し味として試しに使ってみるといいかもしれません。

さて、今回のレシピはマーマレードを使ったキャロットラペ、パストラミ、レタスをパンに挟んで、それぞれの相互作用を引き出しました。そんな爽やかサンドに平然とマヨネーズをたっぷりかけるくせ者が我が家にはいるので、食の嗜好については似た者同士がいいと思います。このようなときは般若の顔を隠す、菩薩のような仮面を被って寛大なフリをします。仮面は1枚あると便利で、夫婦円満の秘訣だと思います。

■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)