ビスケットの日

2月28日は「ビスケットの日」。ビスケットの語源がラテン語で「2度焼いたパン」の意味をもつ「bis coctus」(ビス・コクトゥス)であることから、「に(2)」・ど・や(8)く」の語呂合わせにより制定されたそうです。そして幕末の頃、長崎でパンの製法をオランダ人から学んだ水戸藩士の柴田方庵が、同藩の荻信之助に「パン・ビスコイト製法書」を提出した日も2月28日とされ、これが日本初のビスケットの製法を記した文書とされています。

江戸時代に長崎で外国人に向けてビスケットは作られていましたが、水戸藩や薩摩藩はビスケットを兵糧の目的で作るようになりました。昭和の時代に入ると菓子メーカーで販売したビスケットがおやつとして人気となり、現在は災害に備える保存食としても研究が進み、乾パンと同様に災害時における備蓄品としても利用されるようになりました。

日本では一般的におやつのイメージがあるビスケットですが、イタリアやフランスでは朝食に食べられています。イタリア人はビスケットやブリオッシュなどの甘いパンをコーヒーと、フランス人は朝食用として売られているビスケットやパンを二度焼きして水分を減らしたビスコットに、ジャムやバター、ヌテラを塗ってカフェオレなどと一緒に食べています。いずれもドリンクにシャバシャバと浸して食べます。

朝食というと屋台や市場などの外で食べる習慣がある中華圏の朝は、早起きして朝食を作らなければならない日本の主婦にとっては羨ましい習慣といえます。とろとろの中華粥や温めた豆乳に酢を合わせた鹹豆漿(シエントウジャン)などが定番です。これらは油条(ヨウテアオ)という揚げパンを浸して食べます。カリカリをシャバシャバに浸すという世界の朝食に少しびっくりしますが、体を温めすぐにエネルギーになる朝食は、栄養補給というよりエネルギー補給だと考えられているのかもしれません。とはいえ時代とともに朝食も変化し、多様な食事スタイルとなっているのが現状です。

いろんな国の朝食を知ると、日本ほど手間をかけた朝食はないと思います。米を研いでごはんを炊き、だしを取って味噌汁を作り、野菜を茹でてお浸しを作り、魚を焼き、漬物を出す。昔はそれが当たり前だった。しかし現代は忙しい主婦が多いので、夕飯の残りであろうと、お湯で溶かしたスープとトーストだけであろうと、少しくらいの手抜きは許してほしい。(笑)そんな忙しい主婦にぴったりのミネラルや食物繊維が豊富なライ麦パンを使ったサラダを紹介したいと思います。2度焼きしたカリカリのライ麦パン、まな板要らずのちぎって使える葉物野菜を使えば楽ちんです。ドレッシングは残りがちなすし酢とオリーブオイルを混ぜたシンプルなものにしています。たっぷり作ってお弁当や夕飯の一品にすれば、トスカーナ―の郷土料理のパンツァネラのようなおかずサラダになります。ドレッシングが染み込んだバケットは、しっとりとして別の美味しさになり、ここにツナやサラダチキンなど加えればボリュームもでます。

私の父はコーヒーやスープにシャバシャバとパンを浸して食べて、家族からドン引きされていましたが、今思えばカリカリシャバシャバがわかるグローバルな男だったのかもしれません。

レシピ

【材料】2人分

    • 808ファクトリーレタス(フリルレタス)  1/2袋
    • カーボロネロ(なければ小松菜) 適量
    • ライ麦パン 10~15cm
    • パルミジャーノレジャーノチーズ  適量
    • A(EXオリーブオイル 大さじ1、すし酢 大さじ1 塩 少々 黒胡椒 少々)

【作り方】

    1. ライ麦パンを小さく切ってトースターで2分焼く。取り出してオリーブオイル(分量外)を塗り、さらに1分焼く。
    2. お皿にレタスとカーボロネロを手でちぎって入れ、(1)のライ麦パンを加える。
    3. パルミジャーノレジャーノチーズをおろし、食べる直前に混ぜたAをかける。

■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)