干瓢の日

1月10日は「干瓢の日」。干瓢の「干」の字が「一」と「十」で成り立っていることから制定されたそうです。

干瓢は夕顔の実を紐状に剥いたものを干した乾物食品です。夕顔は名前の由来にもなっているように、夏の夕方に朝顔に似た白い花が咲きますが、翌朝にはしぼんでしまいます。花はひっそりと咲き儚げなイメージですが、実は粛然とした姿が冬瓜とよく似ています。ナガユウガオとマルユウガオという種類があり、干瓢になるのはマルユウガオです。現在は栃木県の生産量が日本一です。

干瓢は料理のメインになることはほとんどありませんが、結ぶことができる食材としては無二の存在で、縁結びのご利益もあると言われています。また細く長い形状であることから長生きできるようにとの験担ぎとして料理に使われることもあり、干瓢は人生において大切な福を招いてくれる食材といえます。栄養面においても健康維持に役立つものが多く含まれています。なかでも食物繊維とカリウムが含まれているので、塩分が高くなりがちな煮物や味噌汁に使うと余分な塩分の排出を促すので、上手に料理に取り入れるといいと思います。

干瓢は干ししいたけや昆布と同様で精進だし(植物系の食材から取るだしのこと)としても使います。精進だしは精進料理にだけと思われがちですが、和食や洋食など幅広く使うことができます。グルタミン酸やグアニル酸のうま味成分があり、かつおだしと合わせて使うととても美味しくなります。ボトルに昆布・干ししいたけ・干瓢を入れ、水に漬けて冷蔵庫で保存しておくと、いざというときに便利です。冬の定番料理のおでんには、ロールキャベツやもち巾着、結び昆布などに干瓢が使われていますが、煮崩れを防ぐためだけではない名脇役だったということです。これには大根役者もびっくりです。(笑)

干瓢を使わないなんてナンセンスということで、今回はロールレタスや昆布を干瓢で結んでおでんにしました。仕込み中に干瓢が腹巻きに見えてきたので、「腹巻きおでん」と命名しました。腹巻きおでんは食べると身体の芯から温まるのはもちろんですが、腸を刺激する水溶性食物繊維が豊富な昆布・こんにゃく・しらたきや、胃腸の消化を助ける大根を入れるので、本物の腹巻きさながらの効果が期待できます。

ちなみに腹巻きは内臓を温めて基礎代謝をアップさせ、むくみの原因になる冷えを解消させることから、近頃は温活や腸活をする女性の強い味方になっています。どちらかといえばこっそり使われることが多いので干瓢と同じ陰の立役者だといえます。バカボンのパパや、寅さんのようなおじさんが身につけているイメージはもう過去のものなのかもしれませんが、腹巻きと腹巻きおでんさえあれば「これでいいのだ」…と、どこからか聞こえてきそうです。(笑)

レシピ

【材料】2人分

    • 808ファクトリーレタス(グリーンリーフ)  1/2袋
    • 豚挽肉 100g
    • ゴボウ  20cm
    • 昆布  1~2枚
    • 干し椎茸 1個
    • 干瓢  適量
    • お好みの具(大根・さつま揚げ・ちくわ・こんにゃく・しらたき・ゆで卵等) 適量
    • かつおだし(干し椎茸・昆布・干瓢のもどし汁を含む) 800ml
    • A(淡口しょうゆ 大さじ2 みりん 大さじ2 砂糖 大さじ1 塩 小さじ1/3)
    • B(玉ねぎのみじん切り 1/2個 パン粉 大さじ1 塩 少々)

【作り方】

    1. 干瓢・椎茸・昆布は水に浸してもどしておく。椎茸・昆布・干瓢は絞って取りだす(もどし汁はあとで使用)。
    2. 干瓢は塩もみし、水洗いして塩を洗い流し、熱湯で5分程茹でる。レタスは耐熱皿に並べ、ラップをかけて電子レンジ600Wで30秒加熱する。
    3. ボウルにみじん切りにした椎茸、挽肉、Bを入れてよく捏ねて4等分にする。レタスを2~3枚広げて肉ダネを包んで干瓢で結ぶ。これを4個作る。
    4. ゴボウはたわしで泥を洗い落とし、昆布を巻いて4か所を干瓢で結び、5cm間隔で切る。
    5. 鍋にもどし汁とかつおだしを鍋に入れてAを加え、(3)と(4)とお好みの具材を入れて弱火で20~30分煮る。

■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)