チキン南蛮の日

7月8日は「チキン南蛮の日」。「チキン南(7)・蛮(8)」と読む語呂合わせから制定されました。チキン南蛮は小麦粉をまぶした鶏肉に卵液を絡め、揚げたものを甘酢に漬けてタルタルソースをかけて食べます(タルタルソースをかけないものもあります)。これは宮崎県にある洋食屋ロンドンさんのまかないからヒントを得て出来た料理です。

「南蛮」とは16世紀頃にポルトガルやスペインといった国との貿易でもたらされたものを、「南蛮」「南蛮渡来」と呼ぶことに由来しています。彼らは日本に辿り着くまでに訪れた国々の影響を受けてきました。食文化も例外ではなくネギや唐辛子などの香味を用いることや、油で揚げるという調理法なども取り入れてきました。こうしたことからそれらを使ったものも南蛮と呼ぶようになりました。唐辛子が入ったチキン南蛮や南蛮酢、ネギが入った鴨南蛮やカレー南蛮が有名です。

チキン南蛮のようにまかないから生まれた料理は他にもあります。三重にある天ぷら屋の千寿さんで「天むす」は生まれました。あまりにも忙しすぎて昼食を作って食べる暇がなかったときに、おにぎりに海老の天ぷらを入れ、一口で食べられるまかないむすびを作ったのが天むすの原型だといわれています。

つけ麺の元祖である東池袋大勝軒の山岸一雄氏も、湯呑茶碗にスープと醤油を入れて、余った麺を浸して食べたまかないをきっかけでつけ麺を作ったといいます。そして名古屋名物「ひつまぶし」も諸説ありますが、養殖が始まる前の不揃いだったウナギを、焼いて細かく刻んで臭みを消すために薬味を入れてまかないにしたといいます。

残ったものを無駄にせず、そこにある食材で作ったまかないが、いつしか誰からも愛される料理になるとは驚きです。もしかしたら私たちのキッチンにも思わぬ宝が眠っているかもしれません。

さて、もうすぐ東京2020オリンピック・パラリンピックがはじまります。コロナという逆境を乗り越え、開催国日本はどんな開会式をするのでしょうか。そして世界の選手たちがどんな活躍をするのかとても楽しみです。

そんな試合を自宅で観戦するなら、パクっと食べられる天むすのような小さいサイズのおにぎりが良いと考えました。普通のおむすびでもいいのですが、俵むすびの真ん中に包丁で切り目を入れてチキン南蛮とレタスをホットドッグのようにのせてみました。

小さいサイズの南むす(チキン南蛮おむすびの略)なら、きっとどんなシーンも見逃さず観戦できると思います。テレビを観ながら食事をするなんて行儀が悪いかもしれないけど、今回だけは大目にみてね。

レシピ

【材料】2~3人分

  • ごはん 400g
  • 焼き海苔 3枚
  • 鶏ささみ 2本
  • 808ファクトリーレタス(フリルレタス) 3枚
  • A(醤油・味醂・酢 各大さじ1 砂糖 小さじ1 一味唐辛子 少々)
  • 卵  1/2個分
  • 小麦粉  適量
  • 揚げ油  適量
  • B(茹で卵 1個分 玉ねぎのみじん切り 1/8個分 マヨネーズ 塩 少々)

【作り方】

  1. Aをボウルに入れ、砂糖が溶けるまで混ぜる。
  2. ささみは塩をふり、小麦粉をまぶす。溶き卵をくぐらせ、170度に熱した油で揚げる。熱いうちに(1)に入れて絡ませる。
  3. ごはんは8~10等分にして俵むすびにし海苔を巻く。海苔がしんなりしたら真ん中に濡れた布巾で包丁を湿らせて切り込みを入れる。
  4. (3)にちぎったレタス、一口サイズに切ったチキン南蛮を挟み、混ぜたBのタルタルをかける。

■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)