勝負事の日

1月8日は勝負事の日。「一」(イチ)か「八」(バチ)かと、読む語呂合わせが由来となっています。

時代劇の賭博シーンでサイコロを振って「丁か半か!」というおなじみの言葉。その「丁か半か」と同じ意味の「一か八か」ですが、現在は日常では滅多に使わないですね。その一か八かはこの「丁」の一画目の「一」と、「半」の一と二画目の「八」からとったものだそうです。面白いですね。

さて、今年初めのコラムはそんな勝負事についてのお話…といっても毎日作る食事の美味しさを左右する勝負所「味付け」のお話です。
一か八か…こんなふうに最近思ったのはいつだろう?と考えたとき、味付けの時だったと思いました。
よくレシピで「塩・こしょうを少々」や「塩・こしょうで味をととのえる」と書いてあります。この曖昧な表記に悩む人も多く、これこそが一か八かなところがあります。
塩は素材の味を引き出す調味料なので重要です。素材の重さに対して、0.8%の塩と覚えておくとよいと思います。これは人間の体液の塩分濃度とほぼ同じであり、脳が本能的においしいと感じる濃度です。100g×0.008=0.8gを目安に覚えておくと良いでしょう。ちなみに「塩少々」は二本指でつまんだときが0.5g(小さじ1/8)です。参考まで。

次に煮物の味付けですが、一か八かの感覚で味をととのえるのではなく、八方出汁をうまく利用すると失敗がありません。
基本の八方出汁の割合は、だし:しょうゆ:みりん=8:1:1です。これを作っておくと、煮物や鍋物、お浸しに使えてとっても便利です。煮汁に砂糖を少し加えるとまろやかになり、お酒を加えると旨味が増します。だし:しょうゆ:みりん=400ml:50ml:50mlを目安にして、最初はこのシンプルな配合で作ってみましょう。今回のサッと煮はこのままの割合ですが、コトコト煮るのであればだし汁を8~10の割合になるように足します。慣れてくればお好みの八方だしが作れるようになり、そうなったらもうこちらの勝利です。(笑) 市販のものよりすっきりとした味になり、とてもおすすめです。
八方だしを作る時、だしが重要になります。かつお、昆布、にぼし、干し椎茸や貝類などがあり、昆布とかつおぶしの合わせだしは旨みの相乗効果でとても美味しいのですが、時間がないときはだしパックや昆布水(昆布を水につけたもの)を使うと良いと思います。そしてみりんの割合を酢に変えると酢の物に使える八方酢になります。

八方だしの八方はどんな素材とも仲良くできて、しかも引き立ててくれるという八方美人が由来ですが、今年は家族から八方だし美人と言われようではありませんか…さぁ、いざ勝負!

レシピ

【材料】2人分

  • 808ファクトリー(グリーンリーフレタス) 1袋
  • 油揚げ 1枚
  • 八方だし(だし汁 400ml 薄口しょうゆ 50ml みりん 50ml)

【作り方】

  1. 鍋にだし汁を沸かし、しょうゆとみりんを加えて煮立てて八方だしを作ります。
  2. 油揚げはグリルで焼き、焼き目がついたら取り出し、5~7mm幅に切る。
  3. 鍋に(1)の八方だし(200ml)を入れて沸かし、フツフツとしてきたら油揚げとちぎったレタスを加えてサッと煮て、器に盛りつける。

■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)