奇術の日

12月3日は「奇術の日」。奇術(手品・マジック)を披露する時の掛け声「ワン(1)・ツー(2)・スリー(3)」と読む語呂合わせから制定されたそうです。日本における奇術の歴史は奈良時代に伝来した散楽という曲芸や幻術がはじまりとされています。

マジックといえば人間の視覚や思い込みを利用し、「実現不可能なこと」が起きているかのように見せかけるものです。テレビ番組でマジックを見て、タネを明かしてやろうと瞬きもせず見ていても、今まで一度も見抜けたことはなく、ハトが飛んだり、ポケットからコインが出てきたり、箱から物が消えたりと古典的なものでさえもわからない。わかるのはスティックから花が飛び出る仕掛けだけ。「わからないからこそ面白さが残る」それでいいのだと個人的には思います。(笑)見抜きたくなるのはマジックだけではなく、外食をしたときに出される料理のタネも明かしたくなります。この食感は?スパイスは?隠し味は?などと舌と経験を頼りにおいしさの秘密を探るのが面白いと思っていて、ベロメーターが正確なわけではないので、答え合わせというより、単純に小さなタネを感じとると食事がより楽しくなるからです。ちょっとおしゃれなお店だと、料理をテーブルに運んでくださったときに、料理の説明などを含めて隠れた味のタネ明かしをしてくださることもあります。先に答えを知ることでタネを感じ、頭の中でハトが飛んだように驚いたりします。

家庭料理も身近な食材でマジックのように美味しくなります。例えば優しい甘みにはちみつを使ったり、旨味と塩気にアンチョビを使ったり、爽やかさを出すためにレモンの皮、コクを出すのに味噌、リッチな味わいにするためにチーズやバターを使ったりと、私たちは料理をするときマジシャンのようになります。美味しくできたなら、惜しみなく家族にタネ明かしをします。(笑)

タネを明かすほど複雑ではないのですが、テーブルに温かみを感じさせる冬にぴったりのバーニャカウダを紹介したいと思います。バーニャカウダは北イタリアを代表する郷土料理で、温かいソースに野菜を浸して食べる日本でもポピュラーな料理ですが、ニンニク・アンチョビ・オリーブオイルだけで作るものもありますが、レタスがソースに絡みやすいように、生クリームとバターを使った伝統的なバーニャカウダを作ることにしました。これは酪農が盛んであったピエモンテ地方のオーソドックスな味付けです。美味しくなるためのタネ明かしは、ニンニクを下茹ですることです。少し手間ですが、この作業をすることで独特の臭みを取り美味しくなります。

そして奇術の日にちなんでレタスはボックスに詰めて、フタをしてテーブルに運びます。
タネモシカケモアリマセンと言って、「ワンツースリー」の掛け声でフタを開けてみましょう。きっとハトが出る驚きがあると思います。そして食後には箱からレタスが消える不思議なマジックです。

レシピ

【材料】

    • 808ファクトリーレタス(4種類) 1/4袋ずつ
    • お好みの野菜(パプリカ・ブロッコリー・ラディッシュなど)
    • ニンニク 50g
    • アンチョビフィレ 25g
    • EXオリーブオイル 30~50ml
    • 生クリーム 25ml
    • バター 20g

【作り方】

    1. ニンニクは皮を剥き半分に切って芽を取る。湯を沸かしてにんにくを入れ、柔らかくなるまで中火で15分ほど茹でる。
    2. (1)のニンニク、アンチョビ、バターをフライパンに入れ弱火にする。ニンニクとアンチョビは木べらで潰しながら炒め、オリーブオイルを加える。さらに生クリームを加えて馴染ませる。
    3. バーニャカウダポット(なければココット)にソースを入れてキャンドルで温める、ボックスにレタスを敷き詰める、お好みの野菜をお皿に入れ、ソースにつけて食べる。

■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)