蒸し料理の日

6月4日は「蒸し料理の日」。「む(6)・し(4)」(蒸し)と読む語呂合わせから制定されたそうです。蒸し料理とは蒸気を使って加熱した料理を意味します。

蒸し器や蒸籠を使った食べものといえば、温泉地の店先で蒸されている温泉饅頭が浮かびます。下手な看板よりもあの蒸気には注目が集まります。匂いの主張はそれほど無いのに、蒸籠がまるでマジックショーのボックスのようで、蓋を開けるとハトが飛び立つように蒸気が立ち、中身を知りながらも心が躍ります。それをふはふはしながら食べる時間は実に至福です。

台湾の士林夜市の屋台はいろんな魅惑の匂いがします。行列並ぶ小籠包屋で注文をすると、大きな蒸籠から小籠包を出してくれます。それを火傷覚悟で竹串に刺して立ち食いした幸せはなんともいえませんでした。またいつかそんな旅を楽しめる日が来るといいなと思います。

基本的に料理は熱々に食べるのが一番おいしいと思っていますが、家族に猫舌がいるとそういうわけにはいきません。熱々に対して執着がないため、出来立ての料理をテーブルに運んでも、あまり感動がなく、席に座るまでの行動がスローモーションのように私は見えます。「いただきます」から、必要以上にフーフーして食べようとするので、とても歯がゆい気持ちになります。だから私は猫舌に対してとても冷たい所があります。そんな猫舌の行動を凍てつくような視線で見ているので、もしかしたらドライアイスの氷霧のようなものが、目から出ているかもしれません。(笑)

そんな猫舌ですが、実は皆無だといいます。一般的に舌の温度感覚に個人差はなく、舌の使い方に問題があるそうです。舌は奥より先の方が熱に敏感で、猫舌は食べる時に舌先を前に出したまま口に入れるので熱いと感じてしまうそうです。我が家の自称猫舌さんにそんな話をしても受け入れてくれないので、人生半分損をしていると思います。

さて私たちも蒸されてしまう梅雨シーズン、キッチンに蒸気が籠らない無水鍋料理がおすすめです。無水鍋は鍋と蓋の隙間がしっかり塞がれていて、気密性の高い状態で食材から出る水分を循環させて調理をするので、本来の具材の旨みが凝縮されて美味しく仕上がります。そして隣で別の調理をしていても、私たちも蒸されないメリットがあります。機能性だけでなくデザイン性も良いので、鍋ごとテーブルに出せばお洒落に見え、そして熱々で食べることが出来ます。猫舌さんはレモンをキュッと絞ってかければ、少し温度が下がり食べやすくなります。実は猫舌さんに優しい私です。

レシピ

【材料】2人分

  • イサキ  2尾
  • 808ファクトリーのレタス(グリーンリーフ)  2袋
  • 白ワイン  小さじ2
  • オリーブオイル  大さじ2
  • 塩  小さじ1/3
  • ブラックペッパー  少々
  • レモン  1個

【作り方】

  1. イサキは鱗と内臓を取る。塩(分量外)を振ってしばらくおき、水分を取り、イサキの腹に2~3か所斜めに切り目を入れる。
  2. レタスは軸を取って無水鍋に敷く。その上にイサキをのせ、半月切りにしたレモンをイサキの切り目に刺して白ワインをかける。オリーブオイルを回し入れ、塩・ブラックペッパーをふる。蓋をして中火で10分蒸す。
  3. お皿に移し、残りのレモンをお好みで絞り、イサキにレタスをのせさっぱりと食べる。

■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)