偶然の産物。
毎月9のつく日はクレープの日。クレープを巻いた形が9に似ているからと洋菓子メーカーが定めたといいます。
クレープはガレットから派生したものと言われていて、違いはというと、クレープはフランス語で「ちりめん」「縮み」を意味し、主に小麦粉が使われ、ジャムや塩キャラメルなどの甘いものがトッピングされています。そしてガレットはフランス語で「円形で薄いもの」を意味し、主にそば粉が使われ、卵やハム、チーズなどがトッピングされています。
フランスにはクレープリーというクレープ専門店があります。ブルターニュ地方特産のシードルなどを飲みながら、クレープリエ(クレープ職人)が作る食事系のガレットを食べ、デザートにクレープとホットドリンクをおしゃべりしながらゆっくりと楽しめるというフルコースがあるそうです。考えてみたら、前菜、食事、デザート、そして酒のつまみとしても重宝されるクレープの存在はすごいと思います。
クレープのルーツとなったガレットには、そば粉が使われていますが、それまでそばの実はすいとんやお粥にして食べられていました。あるとき焼き石の上に落ちた生地が薄く焼けて、とても香ばしく美味しかったことから、ガレットが生まれたといいます。偶然の産物とはいえ、日本にまで影響をもたらした素晴らしい発見だったと思います。
偶然の産物といえば、今回のクレープの日にちなんだメニューを考えたところ、食事系のガレットにしようとすぐに決まったのですが、なかなか盛りつけイメージが決まらず困っていました。とりあえずガレットを作り、どうしようかとキッチンで考えていたら、手からハラリと落ちてガレットに着地したロメインレタスの葉脈がとっても美しかった。そしてガレットと1枚のロメインレタスを一緒に9の字に巻いて食べてみたら、チーズとハムの脂っこさを中和させるシードル的な存在であることに気づきました。
これは偶然の産物と言って良いのかわかりませんが、クルクルっと巻いて秋の夜長を楽しんでいただければと思います。
レシピ
【材料】2人分
- 808ファクトリー(ロメインレタス) 8枚
- A(そば粉 70g 水 120ml 塩 ひとつまみ)
- ハム 2枚
- 卵 2個
- 溶けるチーズ 60g
- サラダ油 小さじ1
- ブラックペッパー 適量
- バター 適量
【作り方】
- ボールにAのそば粉と塩を入れ、水を少しずつ加えながら混ぜる。ラップをかけて冷蔵庫で一晩寝かす。
- 大きめのフライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、キッチンペーパーで油引きする。おたま一杯分の生地を入れて薄く広げる。中央にハムを置き、チーズをのせて土手を作り、中央に卵を割り入れる。
- 皮のフチが固くなって少し浮いてきたら、バターを鍋肌に入れてさらに焼き色をつけ、フライ返しなどで内側に折って四角い形にする。
- (3)をお皿に盛りつけ、ロメインレタスをのせ、ブラックペッパーをふる。
■レシピ協力:きたじまよりこ(スタイリング・撮影・コラム)